TOEICは意味ないと言われるその理由と現実を950点の人間が解説
英語を学習する社会人であれば、多くの方が一度は受けたことがあるTOEIC。年間200万人以上が受験するそんなTOEICですが、「受けても意味がない」といったネガティブな声を耳にすることもあります。なぜそのような事が言われるのか、そしてそれは本当なのか、解説をしていきたいと思います。
結論
TOEICは、その性質を把握し、受験する目的が明確にした上で、積極的に受験するのはアリです!
1.TOEICは意味がないと言われる3つの理由
①TOEICのスコアが高い=英語が喋れる、とは必ずしもならない
TOEICは、Listening495点、Reading495点、合計990点満点の試験です。「聞く」と「読む」の2つを問われるのがTOEICの特徴となります。英語学習において、「4大技能」をあらかじめ把握しておくと、より効率的な学習を行えます。
TOEICで求められる技能:「聞く」と「読む」
英会話で求められる技能:「聞く」と「話す」
そもそも、TOEICの試験において「話す」という項目が内容に含まれておりません。従って、TOEICでハイスコアが取れたとしても、それは聞く力の証明にはなるものの、話す力の証明にはならないということです。
世間一般で、よく「TOEIC」と呼ばれる試験は、厳密には「TOEIC Listening & Reading」のことを指します。上記の様に、「話す」という側面にアプローチをする際には、TOEIC Speaking & Writing(TOEIC SW)の方を受けた方が良いです。
②TOEICはあくまでも試験である
TOEICはマークシート形式の試験です。Listening100問、Reading100問、合計200問で構成されています。それぞれの各問題には多少の傾向や特徴があるので、試験の直前にコツや傾向を叩き込むことで、スコアがグッと上がることもあります。スコアが上がること自体はうれしいことですが、英語そのものの能力が上がる訳ではなく、より本質的な英語学習とは、遠回りになってしまうことも起こりえます。
またTOEICは「ビジネスでのシチュエーション」を想定した内容が多く出題されます。英語学習をする方全員がビジネスを目的にする訳ではない上に、TOEICのテストでは、あまのじゃくな問題もしばし見受けられ、TOEICのための英語の学習、という側面が必要となってしまいます。
TOEICにおいて900点以上をハイスコアと世間では呼ばれます。仮に900点以上のハイスコアを保持している方であっても、聞けるが話せない、という状況に陥りがちです。逆に、TOEICで700点だが、英語を流暢に、反射的に話せる方がいるのもまた事実です。このような現状を目の当たりにすると、「TOEICは意味がない」と言われてしまう気持ち生まれてしまいます。
あくまでもTOEICは「聞く」と「読む」を問われる試験である。「話す」や「書く」といった指標は問われないものだ、という試験の特徴をあらかじめ明確にしておくことが大切になります。
③TOEICのスコアと実際の英語力に乖離がある
TOEICスコアには、それぞれレベルが分けられていて、そのレベルに応じて、実際のコミュニケーション能力レベルがどの程度なのかを示す、指標があります。
こちらでは、レベルA、B、Cの3つのレベルのガイドライン(具体的にどのようなことが出来るスコア)を一例として記載します。
レベルA TOEIC860~ Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる
【英語レベル】
・自己の経験の範囲内で、専門外の分野の話題に対して十分な理解とふさわしい表現ができる
・Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙、文法、構文のいずれも性格に把握し、流暢に駆使する力を持っている
レベルB TOEIC730~ どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
【英語レベル】
・通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。話題が特定分野にわたっても、と応答できる力を持っている。業務上も大きな支障がない
・正確さ、流暢さに個人差があり、文法、構文上の誤りが見受けられる場合もあるが、意思疎通を妨げるほどではない
レベルC TOEIC470~ 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる
【英語レベル】
・通常会話であれば、要点を理解し、応答にも支障はない。複雑な場面における的確な対応や意思疎通になると、巧拙の差が見られる
・基本的な部分、構文は身に着けており、表現力の不足はあっても、ともかく自己の意思を伝える語彙を備えている
参考サイト:PROFICIENCY SCALE (iibc-global.org)
日常会話をできるようになりたい方の目安が600点。仕事における英語(ビジネス英語)を目指す方は730点。より高いレベルの英語をビジネスのシチュエーションで求めるには860点が目安になります。これらはスコアとレベルをイメージさせる上では為になる指標ではありますが、730点を取れたとしても、どんな状況のビジネスの場でも英語でフル対応できるレベルには到底なれていないのが殆どの場面で起きてます。また、860点を獲得しても、正直、Native Speakerとの差は僅かどころではなく、大きな隔たりがあるレベルと言わざるを得ません。
英語学習をする方の目標として「字幕なしでハリウッド映画を見れるようになりたい」という方もいると思います。もちろん、どのようなジャンルの映画を見るのかによって差が生じますが、TOEICのリスニング495点満点を取れたとしても、TOEIC990点満点を取れたとしても、字幕なしでハリウッド映画を完全に理解することは残念ならが出来るレベルにはなり得ないのが悲しい現実と言えます。
TOEICのスコアはあくまでも指標のひとつであり、そのスコアを取れること自体がゴールにはなり得ないということは予め理解する必要があります。
2.TOEICを受ける3つの理由
しかしTOEICにも受けるメリットがあるのも事実です。
①昇進・昇格・進級のため
TOEICのメリットは、やはり昇進や昇格、進学時に必要な条件として設けられていることが上げられます。例えば、英語を活用する部署に異動するためには○○点が必要、といった足切りの指標とされることが多いです。TOEICのスコアを獲得することで、昇進が出来る、昇格し給料が上がる、という大きなメリットがあります。
②英語の上達が可視化できるため(モチベーション維持のため)
英語学習が大変な理由として、モチベーションが維持・継続できない、という声も多く上がります。英語学習がまるでダイエットの様に、常に数値で把握でき、鏡の前に立つことで、まじまじと実感することが出来れば理想的ですが、現実はそうはいきません。日々英語を学習しているが、どの程度伸びているのだろうか、どれくらい変化しているのだろうか、成長や変化を見つけづらい、可視化しづらいのが英語学習の難点の一つです。
その点、TOEICは日々の努力や成果を可視化でき、モチベーション維持につなげることが出来るのが大きなメリットの一つです。さらに、英検と比較し、スコアが5点刻みで結果が出るため、小さな変化にも数値が反映されます。合格か不合格か、といった白黒で判断されない指標である、小さな変化も可視化できるという面も、メリットの一つになります。
③インプット固めとして活用できるため
英語学習には、4大技能があり、それぞれをどのように、どういう手順で着手するのかによって、英語の成長のスピードや効率に差が生じます。
読む、書く、聞く、話すの4つのうち、大きくカテゴリーを分けると、以下の様に分類が出来ます。
インプット系 :「読む」と「聞く」
アウトプット系:「話す」と「書く」
そして、TOEICは試験の特徴として、インプット系の2つ「読む」と「聞く」を問うものになります。
英語学習のひとつの手法として、まずはインプットを固めてから、アウトプットに着手する、というアプローチ方法があります。
英語学習を料理に例えるならば、冷蔵庫の中に、限られた食材しかない状態(インプットが少ない状態)で調理をする(アウトプットをする)のより、まずは買い物に行き、冷蔵庫の中を詰めてから、食材を買ってから(インプットしてから)調理に取り掛かった方が、より効果的な学習アプローチを行えることがあります。
またTOEICのリスニングにおいては、4つの発音の英語が使用されます。
アメリカ英語、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語と、多種多様な発音を駆使したものになるので、幅広い音に慣れるための学習教材、トレーニングとしては理想的なものとも言えます。
3.正しい英語学習のステップについて
英語学習において、TOEICをうまく活用することは、英語学習者の成長を加速させる起爆剤にもなりえます。
英語学習はマラソンと同じ様に、長くコツコツと続けなればならない苦しい面もあるもの事実です。
その中でも、いかに効率的に、最短距離でゴールに近づくためにも、正しい学習ステップで進めることが、英語学習において必須であり、そのためにも、英語学習をリードしてくれる伴走者を用意することは大切になります。
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