TOEICの単語の正しい覚え方!3つの極意を950点取得者が解説
TOEICを受ける場合、必ず避けて通れない道が「単語の暗記」です。もちろん、TOEICでスコアを着実に取るためには、単語だけでは足りず、リスニングや長文読解、文法の練習も必要になってしまいます。
英語を教えるなかで、やはり「単語の暗記」に苦戦する方も多くいらっしゃる印象もあります。単語を覚えるにあたって、効率的に進めるコツがありますので、ご紹介をしたいと思います。
結論
単語の正しい覚え方として「反射」と「反復」は必須項目です。
例文を通して単語の意味を覚えることに加え、書いて覚える、耳から聞いて覚える、口を動かし音読して覚える等といった五感をフルに活用することで、より効率的に単語を暗記することが出来ます。
1. 大人になってからの正しい「単語の覚え方」を理解する
まず結論からお伝えすると、TOEICにおける単語の学習は「最小限に留めるべき」です。単語を多く知っていることで、リスニング・リーディングの両方において問題がより解けることは事実ですが、一定のラインの単語をインプットしたら、アウトプットのトレーニングに集中した方がスコアアップに直結していきます。
TOEICのPart5を例に挙げ説明をしたいと思います。
Part5はリーディング問題(合計100問)の中で、最初に出てくる問題です。合計30問あり、このPart5では「単語」と「文法」の2の力が問われます。
以下の問いを使って説明をします。
(問題)
Due to its hot climate, the northern area of Okinawa is _______ place for tropical fruits.
(A)ideal
(B)ideally
(C)idea
(D)idealize
こちらは4つの選択肢が似ている問題の類になります。この様に似ている単語から答えを選ぶ問題を「品詞問題」とも呼びます。そして、この品詞問題は、idealやidealisticといった単語の意味がわからない方であっても答えを導くことが可能な問題です。
今回の場合、上から順番に、「A 形容詞」「B 副詞」「C 名詞」「D 動詞」となっています。英単語は、単語の「語尾」を見るだけで、単語の品詞を判断することが可能になります。
主な名詞の語尾
-ance
-tion
-ness
主な動詞の語尾
-fy
-ize
-en
主な形容詞の語尾
-ous
-nal
-cal
主な副詞の語尾
-ly
今回の問題の場合、問題文の空欄の前後を確認し、「形容詞」が入る必要があることを確認した上で、4つの選択肢から形容詞を見つけます(答えはA)
この様に、idealの単語の意味が仮にわからなくても、問題の種類によっては、答えに導きスコアアップへとつなげることが可能になります。TOEICにおいては、単語の意味を知っている=スコアが取れる、とは必ずしも一致はしません。単語量があることに越したことはありませんが、TOEIC学習において、単語の学習は最小限に留めるのをオススメします。
学習者一人一人、それぞれが苦手とする箇所、克服すべき点は様々です。中には単語学習の優先度をトップにあえてした方が良い方も勿論おりますので、念のためお気を付けください!
1-1. 自身の目標となる単語数を意識する
目標のスコアを取るにあたって、必要となる一般的な語彙数の指標をまずは整理することをオススメします。最低限おさえる必要がある単語数の目標をまずは定めましょう。
こちらでは具体的にオススメをする単語帳(テキスト)3選をご紹介していきます。
■TOEIC初心者向け(スコア目標500)
中学校で英語を学んだが、当時から英語が苦手であった方。高校からの英語についていけず、それ以降英語学習から距離を置いてしまった方。そのような方がTOEICを受ける場合、まずは500点を取れるようにするのが一つの指標です。
■TOEIC中級者向け(スコア目標700)
500~600点が取れる様になっているが、それ以上を目指したい。仕事で英語を使用する部署に異動をしたい等となった時、次に目指すスコアが700点になります。
■TOEIC上級者向け(スコア目標800以上)
TOEIC800が取れるようになると、英語のインプット力がかなりついてきた証拠でもあります。必要となる語彙量もグンと上がってきます。
自身の目標とするスコアを指標にした上で、現状のレベルに則した単語帳から取り組んでいきましょう。より効率的にスコアを上げるためにも、適度な負荷がかかるトレーニング(漸進性)を意識する必須となります。この漸進性(ぜんしんせい)を理解することも、TOEICの着実なスコアアップにはかかせない要素になります。
*漸進性 ・・・ いきなり負荷の高い物を選ばずに、自身の現状に適したレベルのものから着手し、じょじょに強度をたかめ、レベルを上げること
*英語学習における「漸進性」については、以下のブログでより詳しく書いてます。
英語と筋トレは似ている!?英語と筋トレ両方を教えるトレーナーが解説する8つの理由 (mirago-english.com)
1-2. 単語は大切だが「単語帳」は最小限に留める
TOEICにおける単語の単語帳をご紹介しましたが、冒頭でお伝えした通り、単語の学習はゴールを定め、最小限に留めるのがオススメです。ここで、一つ勘違いをして欲しくないのが、
単語帳「のみ」の無味乾燥な暗記
これを最小限に留める、という意味になります。
語彙力、知っているイディオムの数、これはTOEICに限らず、英語学習の全てにおいてかなり重要な役割を担います。英語学習で一番最後まで付きまとう課題は「語彙力」です。
では、具体的にどの様に覚えるのかというと「アウトプットトレーニング(問題を解くこと)を行いながら覚える」という方法を取り入れることです。
文法の問題を解いている過程で、リスニングのトレーニングを行う過程で、わからない単語、聞いたことがないイディオム等に出会うことも多くあると思います。
その際には、ぜひその新しく見つけた単語をノートに書き、その単語を覚えるようにしましょう。文法トレーニングの過程で単語を覚え、リスニングトレーニングの最中に、新しい単語を覚える、といった付加的な単語力アップは必須です。
単語帳のみを使用した、機械的な単語の暗記は、最小限に留めて、問題を解きながら単語を覚え、アウトプットを行いながら、新にインプットを行う、というイメージで進めてみてください。
2. 大人がTOEICでスコアを取るための正しい単語の覚え方
TOEICにおいて単語の暗記は必要不可欠であり、いかに効率的に記憶できるのか、コツを知っていると知っていないのとでは雲泥の差が出ます。
単語を覚える=記憶させる上でのポイントをご紹介し、記憶の定着のメカニズムをご説明します。
2-1. 反復と確認
TOEICの英単語を覚える上で、ポイントになるのは「反復」することです。やはり何度も見ることで脳の短期記憶から、長期記憶への定着と繋がっていきます。
単語の覚える(記憶する)話において、エビングハウスの忘却曲線は良く例に出てきます。また記憶力日本一に輝いた著者による「脳にまかせる勉強法(著者:池田義博氏)」においても、反復の重要性は記載されています。
個人的な経験も踏まえると、「1日5回見る」が一つの指標です。例えば、暗記をしなければならない単語が50個あったとしたら、この50個の単語を1日5回繰り返し見て、反復を繰り返す、ということです。
さらに、5回反復する過程において「覚えよう」「暗記しよう」といった思いは不要で、「とにかく5回見る」ということにフォーカスしていただいてOKです。5回暗記しよう、ではなく、5回単語を「見る」という気持ちで問題ありません。もちろん、反復の過程で「確認」は行ってください。覚えた内容が正しいのか、間違っているのか、確認を行いながらの反復トレーニングを実施することで、記憶の層が1枚1枚と厚くなり、記憶の定着へと繋がっていきます。
2-2. 「書く」は正しい覚え方!?コツは五感をフルに活用する
学生時代、英単語を覚えるために、先生から「10回書いてきなさい」と宿題を出された経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。私も中学時代に通っていた塾の先生から、毎回ちゃんと10回書いてきているかチェックをされていたものです。
書いて覚えるのはアリですか?
このような質問をいただくことも少なくありません。TOEICのスコアを上げるのにおいて、単語を書いて覚えるのは正しいのでしょうか。これは「アリ、ナシの両方である」というのが答えになります。
単語(記憶)を定着させる上で、重要になるポイントの一つが、「五感を活用する」ということです。脳により刺激を与え、記憶を定着させるために、多くの刺激を同時に与えることも効果的と言われます。ただ単純に目(視覚)のみの刺激から単語を覚えるのではなく、同時に「口を動かし」声に出して覚え、その声を「耳で聞いて」覚える、といった様に、身体の器官をフルに動員することで、より記憶が脳に定着しやすくなります。そのような意味において、「書きながら覚える」という行為は正しい覚え方であると言えます。
しかし、デメリットとしては「時間がかかる」ということです。レベルに応じては、覚えるべき単語数が数百と出てくる方いると思いますので、全てを書いて覚えるという行為は、あまり効率的とは言えません。
さらに、TOEICはスペリングを問われる訳ではありませんので、単語のスペルを覚える必要もありません。従って、基本的に、TOEICのスコアを短期的にアップさせるのであれば、単語は書かないで覚えることをオススメします。
そして、どうしても覚えられない、記憶に定着しづらい単語に関してのみ、書いて覚える、という方法を用いてみてください。
2-3. 脳の特性を意識する!?知識のネットワーク化
先ほど、単語をより効果的に覚えるにおいて「五感をフル活用する」とお伝えしました。そしてさらに、単語の意味だけを覚えるのではなく、関連する情報を同時に覚え、「情報をリンクさせる」ということを試みるのもオススメです。
先ほどの「五感をフルに活用する」も行いながら、単語は音読をしながら覚えると、より記憶の定着に繋がります。英単語は「アクセント」の存在がありますので、アクセントも意識して、音読をしましょう。「今覚えている単語は、形容詞だ!」と品詞を意識しながら覚えているか、ということも大切です。単語は意味だけをシンプルに覚えるのではなく、品詞を覚え、発音やアクセントも行い、あらゆる情報・知識をリンクさせて、ネットワーク化させること行っていきましょう。
3. 元通訳学校講師が実践する、大人になってからの英単語の5つの正しい覚え方
最後に、英単語を覚える上で、元通訳講師も務めた経験も活かして、いくつかご紹介をさせていただきます。
3-1. 関連付けて覚える
こちらは、先ほどの「知識のネットワーク化」の部分でもお伝えしました。単語の意味と、発音やアクセントも覚えると上記では述べましたが、それだけではなく「類義語や反意語、品詞の転換」も可能な限り関連づけることをオススメします。
単語帳にはよく「類義語」や「反意語」も補足として記載している場合がよくあります。これらの情報も同時に覚えてしまいましょう。一回の労力が大きくなり、遠回りになっているように見えるかもしれませんが、長い目で見ると、単純に単語の意味だけを覚えるより、発音・アクセント・品詞の変換なども同時に覚えた方が、後々非常に楽になっていきます。
3-2. 音で覚える リスニングを通して単語を覚える
TOEICの単語を覚える上でオススメの単語帳を先ほどお伝えしました。しかし、単語を覚えるのは単語帳以外からでもできます。むしろ、それ以外も積極的に活用する必要があります。リスニングのスコアを上げる上で、かかせないトレーニングが「シャドーイング」です。
そのリスニングトレーニングを経る過程の中で、わからない単語を覚えていく、リスニングトレーニング(シャドーイング)を通して、結果として単語も覚えている、という状態に持っていくことが理想です。単語は単語、リスニングはリスニング、といったように、それぞれが独立をしている訳ではりません。読む・聞く・話す・書く、といった4大技能は、それぞれが互いにリンクする側面も多々あります。
3-3. 例文で覚える(特にイディオムには効果的)
TOEICで単語を覚える際、イディオムの暗記に苦戦させる方は多いのではないでしょうか。名詞、形容詞、動詞といった単語の暗記は、1つの情報をインプットすれば解決するものの、イディオムの場合、put up with、do away with、in spite of、regardless of、などといったように、情報量が増えてしまうため、そして似ているものも多いため、暗記に苦戦しがちです。
どうしても覚えられない、という時には「例文を通して単語を暗記する」という方法をおすすめします。
1つの単語やイディオムを覚えるために、1つの文章を暗記しなければならない、という労力は多くかかってしまいますが、文章を通して暗記することで、無味乾燥な単純な暗記と異なり、連想させる情報、イメージさせる情景が浮かびやすいため、例文を通して単語・イディオムを暗記するのもオススメします。
3-4. 感情がそこにはあるか
この記事をご覧いただいている方は、恐らくTOEICを受験しようとしている方が多いと思います。「TOEICのスコアを取る理由、目標は何なのか?」ということを今一度ぜひ振り返って見てください。
昇進をするため、海外勤務をしたいため、自己実現のため、いろいろな理由がおありかと思います。そして、そこには学習者の思いが必須となります。もっと簡単に言うなれば、嫌々と学習をしていませんか?ということです。
もちろん、英語そのものがあまり好きでない、という方も多いかと思います。しかし、その中でも、徐々にできるようになっている、成長している、というポジティブな気持ちは存在していますか?
「好きこそものの上手なれ」と、言われます。本当にその通りだと日々痛快します。嫌々と学習をしている、やらされているといったネガティブな感情が強いと、伸びの進捗は正直うまくいかないことが多いです。些細な目標でも結構です。ぜひ、今一度やる目標、理由を振り返っていただき、マインドセットをすることもおすすめします。
3-5. アウトプットありきのインプット
何事も、インプットだけでは足りず、アウトプットをして初めてインプットをした意味があると言われますが、英語の定着、という面においても同様なことが言えます。読んで覚える、聞いて覚える、これらは情報を外から受け取るアクション(受動的)となります。一方で、書く・話すといった事は、情報を自ら外に出すアクション(能動的)になります。受動的なPassive knowledgeと能動的なActive knowledgeとでは、圧倒的に後者の方が定着へと繋がります。新たに覚えた単語、イディオム、フレーズを一度自身で例文を考えて、書いてみる、話してみる、というアウトプットを行うことで、圧倒的な変化を感じること出来ます。
まとめ
TOEICのスコアを上げるために、単語の習得は避けられない道ではありますが、より効果的に成果を上げるコツがあります。今回の内容は、TOEICだけではなく英会話においても活かせる部分が多くあります。効率的に、そして着実に結果へと繋がるやり方を覚えていただき、英語学習に臨んでいきましょう!
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